[00:08.97]懐かしい夜は記憶が終わった頃 [00:12.08]私はゆっくりと目を覚ました。 [00:15.92]そう言えば、あの時… [00:18.65]妖夢は目がおかしくなっていた。 [00:22.56]そんなことを思い出して、ずいずい笑ってしまう。 [00:28.35]あの子は本当に半人前だけど、 [00:31.47]それでも、やっぱり側に置いていまう。 [00:38.33]それはきっと、 [00:40.78]私にとって、彼女もまた、大切な夢の一つだからなのかもしれない。 [00:49.41]やがて、はっきりと目を覚した私は、不意に何かの香りを感じた。 [00:57.92]それは、どこか暖かい風に乗ってやって来た。 [01:04.33]静かで、優しい、春の澄香(かおり)。 [01:11.58]そんな風を楽しみながら、お茶を手に持った時、 [01:16.86]ひらり、と、湯飲みの中に、一片の花びらが舞い降りた。 [01:26.06]嗚呼! [01:28.83]ようやく、来るのかもしれない、 [01:34.02]私の大好きな季節が。 [01:40.01]すっかり目を覚ました私は、静かに目を閉じると、 [01:45.59]「今日くらいはみんなで…」なんて思いだって、 [01:50.24]柔らかな風の中、そっと立ち上がって、 [01:55.83]可愛いらしい庭師を呼び付ける。 [01:59.28]「もうすぐお花見をするから、みんなを集めなさい。」 [02:05.31]っと。 [02:07.38]ーーそれは、柔らかな風の中、桜色の白昼夢を見た日のことだった。